今回は「〜だったらなあ」と、現実とは違うことに対する願望の表現を見ていきましょう。
ここでは「仮定法過去」「仮定法過去完了」について理解されていることを前提でお話ししますので、まだ不安な方は「英検準2級 仮定法過去」「英検準2級 仮定法過去完了」を先にご覧ください。
ではまずは
I wish I knew her e-mail address.
「彼女のメールアドレスを知っていればなあ」
という英文を見てみましょう。
「I wish 〜」で「〜ならばなあ」と、現実とは違うことに対する願望を表すことができます。I wish に続く節は、現実とは違うことなので「仮定法」を使います。
I wish I knew her e-mail address.
の場合は wish が現在形、knew が過去形なので仮定法過去となっています。
I wish 〜 の文で仮定法過去を使うのは、wish(~を願う)の時制と know(~を知っている)の時制が同じ場合です。
つまり「(過去に、ではなく今)知っていればいいのにと(今)願う」という意味です。
このような時制の考え方は「as if ~」と同じですので、そちらを完璧に理解していれば何も戸惑うことはないのですが、たいていの人にとっては苦手な分野だと思いますので、次に「仮定法過去完了」の場合についても見てから、再度まとめて解説します。
では次に
I wish I had seen a doctor a month ago.
「1か月前に医者に診てもらっていたらなあ」
という英文です。
この場合、wish は現在形、 had seen は過去完了形で「仮定法過去完了」となっています。
I wish ~ の文で「仮定法過去完了」を使うのは wish(~を願う)の時制より see(~に診てもらう)の時制が古い場合です。
今回の英文では「a month ago」と明示されていますから、過去のことについて話しているのはわかりますよね。こういった時期を表す語句がなくても「仮定法過去完了」を使っていれば「wish の時点より前のことについて言っているのだな」と理解できなくてはなりません。
では I wish に続く節が「仮定法過去」になる場合と「仮定法過去完了」になる場合について、まとめておきましょう。
I wish(wished) に続く節の動詞が過去形になっていれば「仮定法過去」です。
「仮定法過去」になっていれば、wish または wished と「時制が同じ」です。
I wish I knew her e-mail address.
「(今)彼女のメールアドレスを知っていればなあ(と今、願う)」
この場合は
wish は現在形
knew は仮定法過去
です。
つまり knew は wish と同じく現在のことです。
「今、まさにメールを送りたいのだけどなあ」
といった状況ですね。
I wished I knew her e-mail address.
「(今)彼女のメールアドレスを知っていればと(その時)思った」
この場合は
wished は過去形
knew は仮定法過去
です。
つまり knew は wished と同じ時点の過去のことです。wished(願う)が昨日の朝8:00なら knew(知っている)も昨日の朝8:00というわけです。
「昨日の朝、メールをしようと思ったら、Aさんのメールアドレスを知らないってことに気づいてあわてたよ」
という状況でしょうか。
I wish(wished)に続く動詞が過去完了形になっていれば「仮定法過去完了」です。
「仮定法過去完了」になっていれば、wish(wished)より「時制が古い」のです。
I wish I had known her e-mail address.
「(あの時)彼女のメールアドレスを知っていたならばなあ(と今、願う)」
この場合は
wish は現在形
had known は仮定法過去完了
です。
つまり had known は現在のこと表す wish より古い時制ということで、過去のことです。
「今なら彼女のメールアドレスを知っているけれど、連絡したかったのは1週間前なんだよね。あの時知ってたらなあって、今も悔やまれるよ」
といった感じですね。
I wished I had known her e-mail address.
「(あの時)彼女のメールアドレスを知っていたならばと(その時)思った」
この場合は
wished は過去形
had known は仮定法過去完了
です。
つまり had known は過去のこと表す wished よりさらに古い時制ということです。wished(願う)が昨日の朝8:00なら had known(知っている)は昨日の朝7:59かそれよりも前というわけです。
憧れの女性が結婚したという話を昨夜聞かされて「2年前のあの頃に彼女のメールアドレスを知ってたら、自分もアプローチしたのにな」と残念な思いをした場合などは
I wished I had known her e-mail address.
「(2年前に)彼女のメールアドレスを知っていたならばと(昨夜)思った」
という「仮定法過去完了」の文が当てはまりますね。