今回は分詞構文の「完了形」というのを見ていきたいと思います。
主節の述語動詞より副詞節(従属節)の動詞のほうが時制が古い場合は、この完了形を使うことになります。
まず
Because I had lost my wallet, I couldn't have lunch today.
「財布をなくしてしまったので、今日は昼食を食べられませんでした」
という文があったとします。
分詞構文の基本的な作り方は
① 接続詞 Because を省略
② 主語の I も主節と同じなので省略
③ 動詞を~ing の形にする
でしたね。
ただ、この英文はよく見てみると主節は過去形(couldn't)ですが副詞節は大過去(had lost)です。
つまり副詞節の時制が主節の時制より古いパターンです。
このような場合には手順③を少し変えます。
① 接続詞 Because を省略
② 主語の I も主節と同じなので省略
③ 動詞を「having + 過去分詞」の形にする
となります。
これで
Having lost my wallet, I couldn't have lunch today.
という分詞構文ができました。
古い方を have + 過去分詞の形にするというのは
・不定詞の to に続く動詞が述語動詞より前のことを表す場合には「to have + 過去分詞」
・動名詞が述語動詞より前のことを表す場合には「having + 過去分詞」
というふうに、ほかでもよく使われている法則です。
次に
After I finished my homework, I went to bed.
「宿題を終えてから寝ました」
という英文の場合はどうでしょうか。
この文は主節も過去形(went)で副詞節も過去形(finished)です。つまり「時制」という考え方なら「同じ」となります。
ただし After という接続詞によって、どちらが先に終わった動作なのかは明白です。
実は「after や before がついていて時間の前後が明白な場合には、古い方の動詞も大過去にする必要はない」ということになっています。
ですので「時間的に古い方を having + 過去分詞にする」ということで
① 接続詞 After を省略
② 主語の I も主節と同じなので省略
③ 動詞を「having + 過去分詞」の形にする
という同様の方法で分詞構文にして
Having finished my homework, I went to bed.
となります。
Because he has lived in London for 10 years, he speaks English fluently.
「10年間ロンドンに住んでいるので、彼は流暢に英語を話します」
このような英文も「having + 過去分詞」の完了形の分詞構文にします。
時制としては主節が現在形、副詞節が現在完了形の継続用法で、どちらも「現在」の話です。
ですが副詞節が「現在完了」「過去完了」のような完了形の場合は、時の前後に関係なく分詞構文も完了形にします。
ですので
① 接続詞 Because を省略
② 主語の he も主節と同じなので省略
③ 動詞を「having + 過去分詞」の形にする
という手順で
Having lived in London for 10 years, he speaks English fluently.
となります。
次は完了形の分詞構文の否定形です。
Because I had not received a reply, I called him.
「返事をもらっていなかったので、私は彼に電話をしました」
というように副詞節に否定語がついている場合、「having + 過去分詞」の前に not をつけます。
① 接続詞の Because を省略
② 主語は I で主節と副詞節で共通なので省略
③ had not と否定語 not があるのでまず先に Not を書く
④ had received の部分を having received にして Not の後に書く
以上の手順で
Not having received a reply, I called him.
という否定の分詞構文が完成です。
ただし、否定語が never の場合は「never having + 過去分詞」でも「having never + 過去分詞」でも可能です。
ここはあまり混乱する人はいないと思いますが、念のため確認です。
Having nothing to do, I took a nap.
「何もすることがないので、昼寝をしました」
のような分詞構文は、たとえ having で始まっていても完了形とは関係ありませんね。
Because I had nothing to do, I took a nap.
という文の have の過去形「had」を~ing形にしただけです。
たまに「having で始まっているから完了形の分詞構文」と決めつけて読んでしまい、意味が分からなくなる人もいるので気をつけてください。