独立分詞構文

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今回は「独立分詞構文」というのを見ていきたいと思います。なんだかタイトルを聞くだけで面倒くさい印象ですね。私も初めてこの言葉を聞いた時には、即「イヤだ」と思いました。ただ、分詞構文の基本を理解できていれば楽勝です。まだ分詞構文の基本についてあいまいな方は「分詞構文」を先にご覧ください。

まずは
Because the rain began to fall, we took a taxi.
「雨が降り始めたので、私たちはタクシーに乗った」
という英文を分詞構文にしていきましょう。

分詞構文の基本は
① 接続詞を省略する。
② 主語が主節と副詞節(従属節)で同じなら省略する。
③ 動詞を〜ing形の現在分詞にする。
でしたね。
この手順に沿っていくと、②で「あれっ?」と気付くはずです。
そうです、今回の英文は主節と副詞節の主語が同じではないのです。

主節と副詞節の主語が違う場合は、どちらの主語も残してあげる必要があります。
すると
The rain beginning to fall, we took a taxi.
という分詞構文が出来上がるのです。
これが「独立分詞構文」です。
つまり「副詞節(従属節)の主語を残す分詞構文」が「独立分詞構文」という難しそうな名前になっているというだけのことです。

次に完了形の独立分詞構文についても見ていきます。
完了形の分詞構文についてあいまいな方は、まず「分詞構文 完了形」からご覧ください。

After the sun set, it began to get cold.
「太陽が沈んだ後、寒くなり始めました」
という英文を分詞構文にしましょう。

① 接続詞 After を省略します。
② 副詞節の動詞が主節の動詞より前の動作を表す場合は、単なる〜ing形ではなく「having + 過去分詞」になりますので、今回は set を having set とします。

主節の主語と副詞節の主語が同じなら副詞節の主語は省略しますが、今回は主節が it、副詞節が the sun となっています。「it は the sun を指す代名詞ではないの?」と思われる方もいるかもしれません。ですがここでの it は中1で習う It's sunny. や It's hot. のように天気や気温を表すときに主語として使う it です。つまり主節と副詞節の主語は同じではないということになります。ですので、副詞節の主語もそのまま残しておきましょう。

これでできるのが
The sun having set, it began to get cold.
という完了形の独立分詞構文です。

Because there was no bus service, I had to walk to the park.
「バスの便がなかったので、私は公園まで歩かなければならなかった」
という英文の場合はどうでしょうか。

副詞節(従属節)の
① 接続詞 Because を省略する
② 動詞 was を現在分詞の being にする
というところは他の分詞構文の作り方と同じです。

問題は「主節の主語と副詞節の主語が同じなら省略、違うならそのまま残す」という部分です。
副詞節 Because there was no bus service の主語はどれなのかわかりますか?
「be動詞の前にある there でしょ」と素直に答えた人は、今回の独立分詞構文を作る上で悩むことはありません。
ですがSVOCの5文型をしっかり勉強されている方はご存知ですね。「there is ~」の文の主語は、be動詞の後ろにある no bus service になります。このように主語と動詞の語順が入れ替わったり、修飾語である there が文の先頭に出たりと、文の要素が通常の5文型の順序に当てはまらなくなっていることを「倒置」といいます。
高校でも英文法の最後の方で習う面倒な「倒置」を、中学2年生の段階ですでに使っていたというわけです。

ただ、分詞構文を作るときには「倒置だから主語は there ではない」という知識は実は邪魔になってしまいます。ここではひとまず、主節の主語は I、副詞節の主語は there と無理に思い込んでおいてください。
そうすると、主節と副詞節の主語は違っているので、副詞節の主語 there もそのまま残すという結論になり
There being no bus service, I had to walk to the park.
という独立分詞構文が完成します。

次は受動態の独立分詞構文です。
受動態の分詞構文についてあいまいな方は、まず「分詞構文 受動態」からご覧ください。

Since this letter is written in French, I cannot read it.
「この手紙はフランス語で書かれているので、私は読めません」
という英文を分詞構文にしていきましょう。

副詞節(従属節)の
① 接続詞 Since を省略します。
② この場合の動詞は is written と受動態になっていますので、is というbe動詞を being に変えます。
③ ②までで完了としても構いませんが、受動態の being は省略することも多いです。

主節の主語と副詞節の主語が同じなら、副詞節の主語は省略しますが、今回は主節は I、副詞節は this letter で違っています。ですので this letter もそのまま残しておきましょう。

これでできる独立分詞構文が
This letter written in French, I cannot read it.
です。

「with + 物・人 + 現在分詞または過去分詞」というのがくっついている英文を見たことがあると思います。
実はこれも独立分詞構文なのです。
「えっ、分詞構文って接続詞省略が基本なのに、前置詞の with はつけるの?なんでこうなるの」と混乱してしまうのは当たり前です。

なのでまずは with の使い方として、こういうのがあるのを知っておいてください。
She fell asleep with her glasses on.
「彼女はメガネをかけたまま眠ってしまった」
with + 物・人 + 状態」で「(物・人)が(状態)のままで」「(物・人)が(状態)しながら」という使い方です。
with のついている独立分詞構文も、この感覚を当てはめていると思っておけばよいでしょう。

では、with のつく分詞構文はほかの分詞構文とどういう違いがあるのかというと
① 独立分詞構文であること
② 付帯状況(~しながら、~のままで)を表す分詞構文であること
これら2点が揃うとほとんど with がつきます。with をつけなくても文法的に間違いではありませんが、読みにくく感じます。

それでは具体的にどんな英文が with のつく独立分詞構文になるのかを見ていきましょう。
Ken stayed in his car.「ケンは車の中にいました」
The engine was running.「エンジンはかかっていました」
という2文を1つにして「~したまま…」という英文を作るときに、付帯状況を表す分詞構文が使えます。
この場合は主役はやはり Ken ですから Ken stayed in his car. を主節とします。
分詞構文になるのは The engine was running. のほうですので、この文をいじっていきましょう。
今回は最初から接続詞でつないでいないので「接続詞を省略」という手順は必要がありません。
主語は Ken と The engine で違っているので両方とも残します。
動詞は was running ですが、進行形の場合は be動詞を取り除くだけでよいので running となります。
ここまでで
Ken stayed in his car, the engine running.
「エンジンをかけた(エンジンがかかった)ままで、ケンは車の中にいました」
という独立分詞構文ができました。
このままでも文法としては良いのですが、今回は付帯状況を表す独立分詞構文ですので、分詞構文の主語である the engine の前に with をつけるのが普通です。
そして
Ken stayed in his car with the engine running.
となります。

次は受動態の場合です。
「with + 物・人 + 過去分詞」というのも「with + 物・人 + 現在分詞」と同様によく見かけます。
これは「受動態の分詞構文はたいてい being を省略して過去分詞から始める」というところからきています。

He sat on the sofa.「彼はソファに座っていました」
His legs were crossed.「彼の足は組まれていました」
の2文を1つにして「~して…」という英文を作るときに、付帯状況を表す分詞構文の出番です。

この場合は主役は He ですから He sat on the sofa. を主節とします。
分詞構文になるのは His legs were crossed. ですので、この文を手順通りに変形させていきましょう。
これらの2文は最初から接続詞でつないでいないので「接続詞を省略」というのは必要ありません。
主語は He と His legs で別物なのでどちらも残します。
動詞は were crossed と受動態なので being crossed とします。
受動態の being はたいてい省略するので crossed だけ残します。

ここまでで
He sat on the sofa, his legs crossed.
「彼は足を組んで(彼の足が組まれた状態で)ソファに座っていました」
という独立分詞構文ができました。
このままでも間違いではありませんが、付帯状況を表す独立分詞構文は、分詞構文の主語である his legs の前に with をつけるのが普通です。
それで
He sat on the sofa with his legs crossed.
という英文が完成します。

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